2015年7月14日。
NASAの惑星探査機「ニューホライズンズ」が冥王星にたどり着きました。

打ち上げから9年。
2006年1月時点では「惑星」としての地位を持っていた冥王星。
ニューホライズンズは探査機がまだ訪れたことが無い最後の「惑星」へと
旅立っていったわけです。

ところが、当時冥王星のような中程度の太陽系外縁部の天体が続々と発見され、
惑星の定義が崩壊しかけていた時期でもありました。
そして2006年8月。
ニューホライズンズが冥王星へ向かっている最中、
冥王星は「準惑星」へと降格になってしまったのです!!
なんということでしょう。

ニューホラ「やったよ…僕…“最後の惑星”にたどり着いたよ!」
天文学者「あ、それもう惑星じゃないから」

なんということでしょう…!(二回目)
 

◆冥王星とは◆

ここで、冥王星とはどんな星なのか紹介しておきましょう。
冥王星とは、かつて9番目の惑星とされた、
海王星の外側にある中規模の天体です。

大きさは地球の5分の1程度。
月よりも小さいのですが、ニューホライズンズの測定により、
従来の値(直径約2270km)から直径約2370kmに上方修正されました。

「太陽系ヤバい」の記事で距離は書いてありますが、
地球をバスケットボールの大きさとして、太陽を皇居に置くと、
地球は東京・赤坂を過ぎたくらいで、
冥王星は静岡県富士市街くらいの距離になります。
遠いね。
太陽系2

海王星の外側と書きましたが、
公転軌道が大きく傾いているうえにかなりズレており、
時期によっては海王星より内側に入ってきます。


また、いくつか衛星を持っているようですね。
カロン、ヒドラ、ニクス、ケルベロスなど、
怪物や冥府(地獄)にちなむ恐ろしい名前が多いです。
それもそのはず、冥王星の英名プルートは冥府の王の名にちなんでいるのです。

海王星の軌道計算を行ったところ、
さらに遠い場所に惑星があり、その影響を海王星が受けているとされました。
その後、多くの学者が必死に「惑星X」を探し、
ついにクライド・トンボー氏によって発見されます。
人類にとっては暗く深い宇宙の闇の底にある冥府を代表する存在となったのです。
今では惑星のカテゴリーから外されてしまったものの、
海王星より外縁部にさらに天体の領域があることを証明したと言えましょう。

ちなみに冥王星発見のきっかけとなった海王星の軌道計算なのですが、
実は間違っていた(!)ということで、オチを付けておきます。

逆に軌道計算を間違えていなかったら、冥王星発見はなかったかもしれません。

◆ニューホライズンズによる撮影◆

さてそろそろご覧ください、
こちらがニューホライズンズの撮影した冥王星の姿です。
冥王星
(C)NASA 

以前、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像にも、
下の方に白っぽい部分があることはわかっていましたが、
今回それが「ハート形」の地形であることがわかりました。
宇宙の深淵に潜む冥府の王がこんなにかわいらしい星だったとは驚きです。 

予想外すぎる!!

なお、写真では明るく映っていますが、
これは少ない光でもきれいに撮影するために、
長時間シャッターを開きっぱなしにした結果。
肉眼で見たらもう少し暗い星に見えるかもしれませんし、色合いも少し違うかも。
冥王星
少し色調補正をしたのがこちら。

惑星の右半分に少し色が乗っていますが、
これは以前NASAが公開していた
「色合いを強調した冥王星の画像」を少し混ぜたからです。

おそらく、宇宙船で冥王星に行ったら、肉眼だとこんな感じではないでしょうか。
ハートの右と左で色が違う…つまり違う成分が含まれていることになりますね。

カロン
(C)NASA 

なお、衛星であるカロンはこんな感じ。
擬似カラー画像ではありませんのであしからず。
上の方に黒い地形がありますね。

このカロンは冥王星に別の天体がぶつかったときの破片が再び集まってできた、
という説もあるのですが(地球と月の関係と同じ)、
色合いが違う=構成する物質が違うということなので、
ひょっとすると別の空間にいたものが冥王星と引き合って寄り添ったのかもしれません。

単に別の要因で物質が変質した可能性もありますね。
今後の研究に期待。

◆冥王星は“夫婦星”?◆

さて、先にも触れましたが、
二回り小さい「カロン」という名の衛星を持っている冥王星。
冥王星の質量の割にカロンは大きく、
衛星というよりは「二重天体」と見る向きもあります。
冥王星とカロン
JAXA提供。撮影はNASA。左が冥王星で、右が衛星のカロン

普通、衛星は月のように、惑星の周りをぐるぐるとまわっていますが、
冥王星とカロンは、お互いの中心点より冥王星寄りの空間を軸にして
二人で手を繋いで回っているような感じになっています。
「二重準惑星」とでも言うのでしょうか。

冥王星とカロンのダンス

しかも、お互いが常に同じ面を向け合っていているそうです。
つまり、カロンから見た冥王星はいつも同じ模様しか見えないし、
冥王星からカロンを見てもいつも同じ面しか見えません。

まるで、見つめ合っているようじゃないですか?
さらに付け加えておけば、冥王星がカロンに向けているのは常にハートマーク。
なんてロマンチックな星なんだ…!
冥王星とカロン02
カロン(左)と冥王星(右)。構成する物質の違いなのか、色合いが異なる
(C)NASA


地球と月の関係も少し似ていて、地球から見た月はいつも同じ模様をしています。
これは公転軌道と自転が共鳴しているからなのですが、
この関係は一方通行。
月はいつもこちらを見ているのに、地球は何食わぬ顔でクルクル回っています。

冥王星とカロンは相思相愛の夫婦星、
地球と月は片思いの関係ということですね。

なんだか冥王星のイメージが…イメージが…

◆隠れプルートを探せ!◆

プルート、とは冥王星の名前ですが、
ディズニーのキャラクターにも同じ名前の犬がいますね。

冥王星 にちなんで名づけられたとのことですが、
実は冥王星の表面にプルートに似た模様があったということでひそかに話題になっています。
冥王星02
(C)NASA  
 
位置的にはハートマークの右側面になります。
画像の左下に何かいませんか? 

隠れプルート
 …あっ!

◆まとめ◆

準惑星に降格にはなったものの、依然として太陽系外縁部天体の代表として君臨する冥王。
太陽系の外縁部がどうなっているのか、その糸口がつかめるとよいですね。

そしてこれらの探査技術を元に、
通信技術や撮影技術など、人類の科学力も向上していくことを願います。

冥王星のデータは今後もしばらく届いて来るそうなので、目が離せませんね!